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【第1回】文字数単価では成果が出ない理由|オウンドメディアの成功に必要な運用体制・戦略設計・定義

2025.10.30

オウンドメディア


コンテンツ制作の現場では、いまだに「文字数単価」で報酬を決めるケースが少なくありません。一見わかりやすい仕組みのように見えますが、実はこの考え方こそが“良質なコンテンツを生まれにくくしている最大の要因”です。この記事では、なぜ文字数単価では成果が出ないのか、そして企業やライターが本来目指すべき「価値基準」についてわかりやすく解説します。

第1章:文字数単価の落とし穴

文字数単価とは、記事の内容にかかわらず「1文字いくら」で報酬を決める契約方式です。「分かりやすい」「予算を立てやすい」といった理由から多くの企業で採用されていますが、実はこの仕組みは“成果を出すコンテンツ”とは相性が良くありません。

なぜなら、「量をこなすこと」が目的になってしまうからです。記事を多く書けば収入が増えるため、ライターはどうしても文字数を稼ぐ方向に意識が向かいます。一方で、企業側も「○文字で○円だからこの範囲でお願い」と制約を設けるため、ライターは本質的な価値よりも“与えられた枠を埋める作業”に追われてしまうのです。

  • 内容が薄い
  • 読みやすさよりも分量を優先
  • ユーザーにとっての価値が乏しい

こうした記事が量産され、成果につながらないという構造的な問題を生み出します。

第2章:ユーザー視点が抜け落ちる仕組み

本来、コンテンツ制作の目的は「検索上位を取ること」ではなく、ユーザーに価値を提供し、行動を促すことです。しかし、文字数単価の仕組みでは、企業とライターの関係が“発注と納品”に終始してしまい、ユーザーの存在が抜け落ちがちになります。

たとえば、次のような「読者設計」は、本来の出発点であるべきです。

  • どんな課題を抱えた人に向けて書くのか
  • 読者は何を知りたくて検索しているのか
  • 読後、どんな行動をしてもらいたいのか

しかし、単価ベースのやり取りでは、その設計を丁寧に行うインセンティブが働きません。結果として、「読む人のためではなく、発注条件を満たすための記事」ができ上がってしまうのです。

第3章:数字では測れない“価値”を評価する

優れたコンテンツは、文字数ではなく「読者の行動や意識を変える力」で評価すべきです。

たとえば、読者が記事を読んで次のような変化を起こせたなら、それは立派な成果です。

  • 新しい知識を得た(理解が深まった)
  • 具体的な行動を起こした(比較・問い合わせ・応募・購入など)
  • サービスへの問い合わせにつながった(商談化・CV)

この視点に立つと、評価すべきは「1文字あたりのコスト」ではなく、1記事がどれだけ価値を生み出したかという「成果」が重要です。ある制作チームでは、ライター報酬を「記事の品質」「専門性」「制作難易度」で決定し、文字数や長さではなく読者の反応や成果への貢献度をもとに報酬を設定しています。これにより、ライターも企業も「質」にフォーカスできるようになります。

第4章:これからのコンテンツ制作に求められる考え方

AIツールや自動生成記事が増える中で、単に“長い文章を書く”ことの相対的価値は下がっています。求められているのは、ユーザーにとって本当に役立つコンテンツを作る力です。そのためには、次の3点が不可欠です。

  • 成果基準の報酬設計:時間 × 質 × 結果で評価する
  • 読者理解をベースにした構成設計:検索意図から逆算し、必要十分なボリュームで答える
  • 共通目的の共有:企業とライターが“誰に・何を・なぜ届けるのか”を合意する

「文字数」ではなく「価値」で報酬を考えることで、はじめてユーザー・ライター・企業の三者すべてが満足できる仕組みが生まれます。

まとめ

文字数単価は一見シンプルですが、その裏には「量を重視する文化」「ユーザー不在の構造」といった問題が潜んでいます。成果を出すためには、“何文字書いたか”ではなく、“どんな価値を届けられたか”を基準にすること。

オウンドメディア運用の第一歩であり、コツコツと良質な記事を積み上げていくことが、長期的な信頼を生み出す唯一の方法です。急がば回れで。

次回予告

次回(第2回)は、「コンテンツの価値をどう測るか」をテーマに、具体的な報酬設計や品質基準の考え方を解説します。